ビル事業計画に必要なデータと解説
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維持管理費

ビルの維持管理業務は、プロパティーマネジメント業務とも呼ばれ、建物の統合的な運営管理を行う業務です。従来は、ビル事業を開発することに主眼が置かれていたため、重要視されない傾向がありましたが、建物の構造体としての耐用年数が長期化し、ビル事業の競業関係が激化していく中で、常に安全で快適なビル環境を保ち、安定的な収入を確保していくためには、最も重要な業務であるといえます。
維持管理業務には、様々な作業があり、その分類方法も様々ですが、ここでは、設備管理、保守管理、警備、清掃の4つに大別します。


1)設備管理費

設備管理業務は、熱源設備等の運転監視業務、日常巡視点検業務、異常事態の対応、各種検針の記録及び集計、什器備品、消耗品などの保守、管理、官公庁検査の立ち会い、各種鍵の管理、2)の保守管理に対する統括管理、さらには運営業務との役割分担の中で、テナント要望事項に対する対応等があり、ビル環境の保全維持に関わる全般を管理する業務です。基本的には人件費ですが、勤務体制、設備方式、規模等により、必要とされる管理要員の資格、人員数が異なってきます。
共同住宅などの場合で、中央熱源設備等がなく、他の業務等との兼務で行える範囲であれば、運営費か、警備費に必要人件費を設定することで、設備管理費は計上しなくてもかまいません。


2)保守管理費

保守管理業務は、電気、空調、衛生、防災、昇降機など諸設備の法律で定められている定期点検を含めた点検整備業務、高架タンク、受水槽など設備機器の清掃、空調機のフィルター交換、電灯の球替えなど消耗品の補充、植栽の注水や剪定などがあります。
ビルの用途、グレードによる設備方式、昇降機の台数等により異なります。


3)警備業務

警備業務は、建物の安全確保、セキュリティ管理のための警備業務であり、導入された警備システムを利用した監視、館内循環、災害時の通報や初期消火活動、防災センターにおける来館者受付、出入館監視、及び駐車場がある場合の管理業務が含まれます。
経費の内容としては、1)設備管理業務と同様に人件費ですが、建物の規模、用途によっては、機械によるエリア管理が可能であり、コストがまったく異なるため、専門業者との検討が必要になります。人による警備の場合は、警備要員の立つ場所(ポスト)の数、警備する時間帯によって価格が異なってきます。


4)清掃業務

ビルオーナーの役割は、建物共用部の清掃業務であり、テナント専用部は、テナントとの別途契約となります。したがって、建物の外部壁、外部ガラス、共用部分の内部床が主な業務エリアです。
又、近年廃棄物処理業務に対して、ごみの分別回収、減量化、リサイクル等が叫ばれており、地域によって仕組みが異なるため、注意を要しますが、これも、テナントとの別途契約になりますので、基本計画段階までの事業収支には、考慮する必要はありません。


5)維持管理業務費の概算

PM-NETでは、以上の考えたに基づき、維持管理費を概算するプログラムを提供しています。


PM-R

このプログラムを用い、用途別に維持管理業務費を算出した結果が、次表です。
設定は、東京における、延床面積5,000u、専用面積4,000u、地上10階建てとしています。
計算根拠の詳細は、プログラムの解説を参照してください。






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