ビル事業計画の手引き
目 次 目的と進め方 土地利用計画 建築計画 事業収支計画

不動産事業の分類


ビル事業を行うには、まず土地がなければ進みません。
そして、その土地の持っている特性により、土地利用の方向性が決定付けられます。
土地の特性を示した仕様書とでも言える書類が登記簿で、権利関係や、大きさなどが示されています。その中で、基本仕様を示すものが、地目であり、宅地、農地、山林などに別れています。このうち、農地は米などの作物、山林は樹木を育成して収入を上げることを目的とした土地であり、土地面積当たりの収入は非常に低いのが通常です。そのため、固定資産税などの土地保有に対する税金は安く押さえられており、この目的以外の利用はできない土地です。これらは、広い意味では土地を利用した事業と言えますが、ここでの不動産事業の対象とはしません。 ここでの不動産事業の対象とは、土地に加工を行い、建物を建設し、様々な利用に供することにより収益を獲得する事業と定義できますが、これができる土地は宅地に限られます。 また、土地利用の目的としては、自宅や企業の本社ビルなどの自己使用を目的とする場合と、何らかの利用により収益を生もうとする事業目的に別れますが、前者は、土地利用による直接の収益を目的とはしていないため、ここでの不動産事業の対象とはしません。
さらに、事業目的に土地利用する形態として、不動産事業の性格で大きく分けると

@土地を賃貸する事業
A土地を分譲する事業
B建物を建設し賃貸する事業
C建物を建設し分譲する事業

の4つの型に分類されます。

@土地を賃貸する事業

土地賃貸事業のうち、「素地賃貸型」としては,土地の借地方式があります。
これには、平成3年に制定された新借地借家法により、従来の普通借地権に加え、期間が満了したら、返還されるタイプの定期借地権方式が新たに登場しています。詳細は、借地料の項を参照してください。
また、「加工賃貸型」としては,平面駐車場,貸しグランド,テニスコ−ト、ゴルフ練習場等があります。
立地条件にもよりますが、いずれにしろ土地単位あたりの収益性は低く、暫定的な利用形態といえます。

A土地を分譲する事業

土地分譲は、「素地分譲型」として一般の土地売却のほか、不動産の買換え,交換による事業が含まれます。
事業用資産の買換え,等価交換等の税制の特例を利用するものがあり,後で述べる事業方式を検討する上で、節税対策の一環として多く使われます。
「加工分譲型」は何らかの加工を土地に施すことにより、付加価値をつけることで、「素地型分譲」よりも、高収益を狙う事業です。宅地造成事業,区画整理事業,工業団地分譲事業,別荘開発事業等の事業が該当します。

B建物を建設し賃貸する事業

建物賃貸事業は,その土地の立地に応じて,事務所ビル,商業ビル,ホテル,住宅等を建設し、長期にわたる賃料収入を得る形態です。分譲事業に対して資産を保有することが出来、賃貸事業の途中で分譲することも可能なため、もっとも付加価値のある土地利用形態といえます。

C建物を建設し分譲する事業

事務所ビルやマンション、戸建住宅の建売りがあり,土地所有権付と定期借地権付に分けられます。いずれにしても,土地と建物を合わせて分譲することにより、それぞれの価値を増大させ、獲得利益のチャンスが大きい事業です。

これらの事業形態中で、加工したとしても、土地のみの取引きでは、土地の持っている価値を最大限生かした事業とは言えません。逆に言えば、建物を建設しようとすれば、まず土地の購入からはじめなければならないわけで、みずから、利益獲得機会を逃しているということができます。土地(宅地)は、その上に立地条件に見合った建物を建設し、利用してこそ本来の姿といえます。

 

 


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