ビル事業計画の手引き
目 次 目的と進め方 土地利用計画 建築計画 事業収支計画

ビル事業の目的

(1)ビル事業の分類

不動産事業の分類の中で、ここで扱うビル事業は、土地に建物を建設する事業を対象とします。
また、建物の建設をする動機としては、当該不動産事業の収益を獲得する以外に、下記のような様々な場合が想定されます。

@地域の名士や企業が、自己のPRやメモリアルのために建設する記念館等
A行政や公益法人が建設する博物館、美術館、コミュニティー施設等
B社会福祉法人や医療法人が建設する特別擁護老人ホーム等の高齢者対応福祉施設
C医療法人が建設する老健施設や病院
D宗教法人が建設する宗教施設
E学校法人が建設する教育施設

この中で、@、Aに関しては、資金や土地を持っているだれでもが建設事業を行うことができますが、当該建設により生まれる収益よりも、いかに地域や企業イメージなどに貢献するかという、当該事業だけでは算定できない利益を目的とした建築事業です。したがって、当該事業の成立性を図る尺度は、ビル事業から生み出される収益以外の、事業毎に異なる内容で決まっていく事になります。
また、B〜Eに関しては、認可資格を持った公益法人のみがその事業を行うことができ、様々な補助金や、当該事業に対する優遇税制がある代わりに、規制も厳しくなっています。さらに、単なるビル事業ではなく、建物を利用したそれぞれの目的事業を行うことにより、収益を生む事が主眼となります。
したがって、ここで対象とするビル事業とは、以上のような建築事業ははずし、様々な土地利用形態の中で、土地の持っている価値を最大限利用する事を目的として、土地の保有している特性を生かした建物を建設する不動産価値の創出により、収益を得ようとする事業であると定義することとします。

(2)ビル事業の副次的動機

ビル事業の目的は、土地の持っている特性を生かし、高収益を獲得することですが、その副次的な動機として、比較的多く見られる事例としては、事業主体が、個人、法人の場合で以下のような事があります。

@事業主体が個人の場合
相続対策として、所有の土地に建設をし、償却資産に変えるとともに、ある程度の借金をしたい。
自宅を建て替えたいのだが、資金を返す当てがないので、ビル化して、自分が住み、余ったスペースを貸したい。
A事業主体が法人の場合
遊休地があるので、高度利用を図り、償却資産を持つ事で、法人税の節税を図りたい。
リストラの一貫として、工場を閉鎖し、不動産を利用した新規直営事業を積極的に展開して雇用機会を創出したい。
本業以外の多角経営の一貫として不動産事業を行い、安定収入を得る事業の柱にしたい。

以上のような事業動機事例から、共通する事業目的としては、節税対策、収入の多角化、雇用機会の創造等が浮かび上がって来ます。 しかしながら、いずれにしても、最適な土地有効利用を行い、ビル事業そのものでの収益を上げることが前提になければ、これらの目的を達成することはできません。

 

 


[目次] [目的と進め方] [土地利用計画] [建築計画] [事業収支計画]

[PM-NET top]